不動産の広告に関する豆知識

2012年5月に改正された「不動産の表示に関する公正競争規約」ですが、新たに追加された項目や変更点など、全体像の把握は難しいように思います。

首都圏不動産公正取引協議会が報告する内容によると、規約に対し抵触している不動産広告の多くは、インターネットによるものが大半を占めているようです。

おとり広告や不当表示など、故意ではなくとも、いつ規約違反による違約金などの措置を取られる可能性が無いとも言えません。

業界から個々の不動産会社などへの情報発信も不足しているように思います。

「思いもよらぬ広告違反」が発生しないよう、業界からの情報提供、不動産会社側の情報収集、広告を担当するメディア側のリテラシーの向上などが必要になってくるかもしれません。

2012年5月に改正になった主な点として、
(用語の定義)の【予告広告】については、
第4条
この規約において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 (3) 予告広告
分譲宅地、新築分譲住宅、新築分譲マンション、新築賃貸マンション又は新築賃貸アパートであって、価格等が確定していないため、直ちに取引することができない物件について、その本広告(第8条に規定する必要な表示事項をすべて表示して物件の取引の申込みを勧誘するための広告表示をいう。)に先立ち、その取引開始時期をあらかじめ告知する広告表示をいう。

(5) シリーズ広告
分譲宅地、新築分譲住宅、新築分譲マンション、新築賃貸マンション又は新築賃貸アパートに関する広告表示であって、一の企画に基づき、1年以内に、順次、連続して4回以上又は6か月以内に3回以上にわたって行う一連の広告表示をいう。

【又は新築賃貸アパートという用語が追加されました】

(インターネット広告に係る必要な表示事項)

(予告広告に係る必要な表示事項)
第5条 規約第9条
(予告広告における特例)
第1項に規定する予告広告において省略することができる表示事項は、別表1、別表4、別表6及び別表8中「●」の記号を付した事項とする。 2 略 3 規約第9条第4項の規則で定める必要な表示事項は、次に掲げる事項とする。

(1) 予告広告である旨
(2) 価格若しくは賃料(入札・競り売りの方法による場合は、最低売却価格又は最低取引賃料)が未定である旨又は予定最低価格(賃料)、予定最高価格(賃料)及び予定最多価格帯
(3) 販売予定時期又は取引開始予定時期
(4) 本広告を行い取引を開始するまでは、契約又は予約の申込みに一切応じない旨及び申込みの順位の確保に関する措置を講じない旨
(5) 略 4 略 (物件の内容・取引条件等に係る表示基準) 第10条 規約第15条(物件の内容・取引条件等の表示基準)各号に規定する事項について表示するときは、次の各号に定めるところにより表示する。
(16) 住宅の居室等の広さを畳数で表示する場合においては、畳1枚当たりの広さは1.62平方メートル(各室の壁心面積を畳数で除した数値)以上の広さがあるという意味で用いること。

(21) 建物をリフォーム又は改築(以下「リフォーム等」という。)したことを表示する場合は、そのリフォーム等の内容及び時期を明示すること。
(34) 土地の価格については、上下水道施設・都市ガス供給施設の設置のための費用その他宅地造成に係る費用(これらの費用に消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)が課されるときは、その額を含む。)を含めて表示すること。
(35) 土地の価格については、1区画当たりの価格を表示すること。ただし、1区画当たりの土地面積を明らかにし、これを基礎として算出する場合に限り、1平方メートル当たりの価格で表示することができる。
(40) 賃貸される住宅(マンション又はアパートにあっては、住戸)の賃料については、1か月当たりの賃料を表示すること。ただし、新築賃貸マンション又は新築賃貸アパートの賃料について、すべての住戸の賃料を表示することが困難である場合は、1住戸当たりの最低賃料及び最高賃料を表示すること。
(44) 住宅ローン(銀行その他の金融機関が行う物件の購入資金及びこれらの購入に付帯して必要とされる費用に係る金銭の貸借)については、次に掲げる事項を明示して表示すること。 ア~ウ 略 エ 借入金の利率及び利息を徴する方式(固定金利型、固定金利指定型、変動金利型、上限金利付変動金利型等の種別)又は返済例(借入金、返済期間、利率等の返済例に係る前提条件を併記すること。)

(47) 購入した物件を賃貸した場合における「利回り」の表示については、当該物件の1年間の予定賃料収入の当該物件の取得対価に対する割合であるという意味で用い、その旨を明示して表示すること。この場合において、予定賃料収入が確実に得られることを保証するものではない旨及び「利回り」は、公租公課その他当該物件を維持するために必要な費用の控除前のものである旨を明示して表示すること。 (過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示) 第13条 過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示は、次に掲げる要件のすべてに適合し、かつ、実際に、当該期間、当該価格で販売していたことを資料により客観的に明らかにすることができる場合を除き、規約第20条において禁止する不当な二重価格表示に該当するものとする。
(1) 過去の販売価格の公表時期及び値下げの時期を明示したものであること。
(2) 比較対照価格に用いる過去の販売価格は、値下げの3か月以上前に公表された価格であって、かつ、値下げ前3か月以上にわたり実際に販売のために公表していた価格であること。
(3) 値下げの時期から6か月以内に表示するものであること。 ただし、6か月以内であっても災害その他の事情により物件の価値に同一性が認められなくなった場合には、同一性が認められる時点までに限る。
(4) 土地(現況有姿分譲地を除く。)又は建物(共有制リゾートクラブ会員権を除く。)について行う表示であること。

インターネット広告の増加を受けてか、旧規約に比べて、詳細を具体的に指し示す内容になっているように思います。
(本広告を行う→本広告を行い取引を開始する等)

紙媒体などの広告と違い、公開までスピーディに行えるネット広告ではありますが、キャッチコピーや物件概要の項目など、気をつけなくてはいけません。

また、インターネットによる不動産広告で追加や変更された点としては、(一部掲載)

①分譲宅地(小規模団地を含み、残区画数が1区画のものを除く。)や現況有姿分譲地の広告の場合であれば、
・所属団体名及び公正取引協議会加盟事業者である旨を表記しなくてはいけない。
・宅建業法第33条に規定する許可等の処分の番号(パンフレット等の媒体を除き、造成工事が完了済みの場合は省略することができる。)

また、こちらは多くの物件種別や売買・賃貸に限らず変更されている点として、
・情報登録日又は直前の更新日及び次回の更新予定日

登録日や更新日に関しては、ほぼすべての種別に該当している変更点であります。

今後のインターネット広告において、(特に自社ホームページの場合)こういった広告規制に注視しながら、思わぬ違反とならないような施策が必要になってきています。

(公社)首都圏不動産公正取引協議会ホームページはこちら


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